LogiTech ブログ

福岡出身の24歳。流通・物流が大好きです。 アメリカでUBERなどの世界的サービスを見たのち、自分もプレイヤーになりたいという思いで、スタートアップの世界へ。 福岡ベースにて活動しています。

顧客満足は物流の問題?サプライチェーンの在庫最適化問題(プル型・プッシュ型)

サプライチェーンの概念にプッシュ型、プル型というものがある。

プッシュ型
プッシュ型マネジメントでは、その商品の販売数量、いつ頃、どこで売れるかを予測し、在庫をなるべく顧客の近くに構えて商品を売りさばく形態である。

 

プル型
一方プル型マネジメントでは、顧客の発注に合わせて商品を作り出すので、
商品リードタイムは長いものの、在庫は最小限に抑えられる。

 



サプライチェーンでは一般的にこれまでプッシュ型主導だった商品を
物流の上流から下流への流れのどこかに在庫の構え場所(デカップリング・ポイント)を置いて在庫を抱えるリスクを削減し、プル型にて実需に対応できるようにすることが目的である。

間違ってはならないのが、サプライチェーンの中で
プル型だけが正しいというものではなく、そのバランス(デカップリング・ポイント)をどの地点でとるかということが重要である。

一般的にサプライチェーンの中で右側(消費者)に近づくことと左側(メーカー)で在庫を持つことに対する顧客の満足度を見てみよう。図2。

[図2]

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一般的に在庫場所が顧客に近いプッシュ型ほど商品のカスタムは難しいが、リードタイムは短い。顧客満足としては、早いということが挙げられる。
一方在庫場所がメーカーに近いプル型主導では、個別最適の実需に対応することができ、在庫を抱えるリスクも小さくなるものである。

 


プル型商品とプッシュ型商品
次に、プル型とプッシュ型の代表的な商品を見てみよう。

プッシュ型商品の代表例)お〜◯お茶。
よく知られているNBの商品などは、年間を通してある程度販売予測がしやすく、
在庫を抱えるリスクも小さい(商品が売れやすいから)。なのでNBなどの商品は、在庫を抱えるリスクよりも販売機会を逃すことによるリスクの方が大きく、販売予測を立てメーカーが生産をする。

プッシュ型商品の代表例)オーダーメイドスーツ。
例えばオーダーメイドスーツなどは、サイズの問題があるのでサプライチェーンの中でプッシュ型ではどうしても個別最適化ができない。それは、プッシュで商品を見込み生産をしてしまうと、顧客のニーズに合わない商品が、在庫として残るリスクが大きいからである。

このようなオーダーメイドスーツの業界では
サプライチェーンの中でデカップリングポイント(以下,DP)をどこに配置するかで、
顧客にとっては差別化が図りやすい。最近では様々なスーツストアがあり様々な商品と価格があるがそれは商品の品質によるものではなく、生産と物流の問題なのである。
例えばスーツストアの中でも、フルオーダーメイドの在庫の構え場所(DP)はより生地レベルに近い場所であり、顧客は商品が届くまでの時間と引き換えに、生地や裁縫などの細かい場所までオーダーをすることができる。
対してセミオーダーでは、在庫の構え場所(DP)は顧客に近いところにあるので、
細かい部分までのオーダーはできないが、フルオーダーに比べると商品が届くまでのリードタイムが断然短い。
スーツストアで価格ラインがお店によって異なるのは、在庫の構え場所(DP)がそれらによって異なるからである。

ちなみにパソコンなどの受注ベース(プル型)の商品でも、
全てをプル型主導のマネジメントに持っていく訳ではなくて、
ある地点まではプッシュ型(トヨタはパーツに汎用性を持たせ、より奥までプッシュできるようにする)で商品のリードタイムを短くし、その先は実需に合わせてプルして生産というのが理想である。

このようにサプライチェーンのポイントをどこに置くかで
商品の見え方そのものが変わるということもあるので、商品が生産から消費者までに関わる人々全てが協力し合うことで、強いサプライチェーンを作ることができるのである。